自分のポジションは何なのか

番組制作にはさまざまな人が関わっています。中には直接制作に関わるのではなく、知恵や見識を提供する人もいます。何か取り扱うものがあって、それを伝えるための、表現するための手段として「番組」があるのです。

私たちはそれらを見ることでさまざまな思いをいだきます。「なるほど」と感銘をうけたり、好きなアイドルを見て心を癒されたり、それは人によってさまざまです。番組提供側もそのようなさまざまな要因を複合的に捉えているものです。今人気の芸能人を出演させることで視聴率を稼ごうとか、今関心を持たれていることを取り扱うことで視聴率を稼ごうとか、そのような思惑です。ビジネスである以上、スポンサーがいる以上、そこには「数字」の責任があるわけですから、すべての取り組みはその数字に直結する必要があります。

世の中にはさまざまな好みを持った人がいます。人は自分が好きではないもの、好きではないことを、「責任がないのに」見続けるほどお人好しではないのです。仕事でもないのにわざわざ不快になるようなものは見ないのです。そしてその好みは多岐に渡っているようで、世間に感化されるものでもあります。人が「良い」といっていれば「そうなのかな」と考えたりするものなのです。そのようなわがままで扱い辛い私たちを相手に番組を作ることは大変な工夫と努力が必要なものです。

視点もバラバラです。出演者の衣装にばかり目が行く人、出演者の発言に対して注意がいく人、感じること、見る部分はバラバラです。だからそれらのことすべてに対して「誰か」が責任を負う必要があるのです。衣装ひとつでその番組の視聴率が左右されるとまではいいませんが、「要素」としては重要なのです。

番組を制作する人は、自分がいったいそれらの「どの部分」を担っているのかを知っておく必要があります。自分が仕事を怠れば、どのような部分のクオリティが落ちてしまうのか、その結果どのような影響が起こるのか、知っておくことが「責任」です。それはさまざまな人が関係する番組制作の中で調和をもたらし、それぞれの人の連携を生み出すものでもあります。

仕事には必ずそれが「生み出すもの」があります。大切なことは仕事を「遂行する」ことではないのです。その結果「どうなるか」を自覚することなのです。さまざまな分野のスキルが結実する番組ですから、自分の「立ち位置」を知ることは何においても重要です。仕事は煩雑なものです。その中でプライオリティをつけることが大切です。自分の仕事を知る、これは大きな組織の中ではなかなか難しいものではあります。そして自分の仕事を知ることは「全体が何をやっているのか」を知ることでもあります。そのことで人はより広い視野を持つことができるようになります。より広い考えを持つことができるようになります。そのことで「成長」することができます。何が大切なのか、どこにプライオリティをおけばいいのか、理解することで自分の仕事をコントロールすることができるのです。それによってよりクオリティを高めることができ、仕事を通じて人から認められることにもつながるのです。

番組制作の中で自分のポジションを理解すること、全員がそうであることが良い番組を作るために必要なことです。